大会の中身についてです。
今回の中国大会は今までの大会とはかなり異質だったと思います。
最も大きな所では「カテゴリー」です。
IWCでは「ポピュラー」と「クラシック」のカテゴリー別に採点され、合計点で総合順位が決まります。過去の大会では、明らかに他方のカテゴリーの曲や、どちらのカテゴリーか判断が難しい曲が演奏されていたことも度々ありました。カテゴリー違反として減点された、逆にされなかった、などで参加者の間でも度々話題になっています。
そもそも「クラシック」とはなにか、と言うと、IWCではバッハやベートーヴェンといった、いわゆる西洋の古典音楽を指します。詳しくは一応の基準はありますが、実際の線引きは結構難しく、作曲家によっては両方にまたがっていたり、厳密には専門家でも意見が分かれるかもしれません。
本質的には「なぜカテゴリー分けしているか」というところに行き着くわけですが、クラシックは(少なくともこのようなコンテストの場合は)楽譜が基準であり、妥当性なき逸脱は減点の対象になって然るべきと思います。またクラシック音楽の作法に則さない不自然な表現(時代劇に電信柱が出てくるような)も同様です。逆に言えばそういったことを判定するためのカテゴリー分けだと理解していますし、参加する方もそれを意識して練習し、演奏するわけです。
本題に戻ります。
今回の大会では、クラシックカテゴリーで上記のいわゆる「クラシック音楽」を演奏していたのは、ほぼIWC参加経験者を主とする国々(アメリカ、ヨーロッパ、日本など)だけでした。地元を含むそれ以外のほとんどの参加者は各国の「伝統音楽」を演奏していて、ことチャイルド、ティーンセクションに至ってはクラシックカテゴリの演奏をせず、ポピュラーのみの演奏でした。
とても興味深い演奏ではありましたが、これでは上記のような意味での同列での審査はまず不可能だったと思います。
なぜこうなってしまったのかははっきりとはわかりませんが、 IWCの運営的には、開催国のローカルルール制定は可能なので、本国に認められた結果かもしれません。
問題は日本を含む、国外からの参加者がそれについて当日まで知らされていなかったことにあると思います。今までのようなカテゴリー分けの意味が、事実上なくなってしまうわけで、もし事前に知っていれば、エントリーを躊躇するケースもあったかもしれません。
大会運営各位の尽力により、それ以外の面ではとてもよい大会だっただけに、残念な気がしました。