i. 調弦・構え方
この章からは、ウクレレまたはギターを使って練習することを前提に進めます。口笛についてはもう少しあとで書くことにして、まずはウクレレ/ギターのごく基本的なところを書いていきます。
まずは調弦
練習の前には必ず調弦(チューニング)をします。口笛は自分で音階を作らないといけませんが、そのよりどころとなる「楽器の調弦」が怪しいと、口笛で正確な音程を表現するのが難しくなります。できるだけ丁寧にやります。
丁寧にやってもなぜか合わないときには、以下のような状況かもしれません。確認してみてください。
- 温度差: 室温に比べて楽器が冷えている。または逆に冷房がとても効いている。
- 弦: 弦を張り替えたばかり。または逆に弦が古い。
- 合わせ方: ペグを緩めながら合わせている。音が高ければ一度多めに緩めて、低めから締めながら合わせないと狂いやすい。
- チューナー:チューナーの基準周波数の設定がずれている。通常は440〜442Hz。またはチューナーに誤差や何らかの問題がある。
- 楽器: 元々楽器の音程が良くない。弦高、ナット、サドルの調整が必要な場合もあり。
また、カポタストを付けると音程がずれることもあります。カポや楽器、弦によっても違いますが、これはある程度避けられません。気になる場合は、カポを付けたまま調弦するといいです。
ウクレレの構え方
何事もそうですが、ウクレレも構え方はとても大事で、構え方が良くないと上達にも支障が出ることがあります。一度変なクセがついてしまうとなかなか治らないので、最初が肝心です。できれば先輩や先生に見て貰うのをおすすめします。
- まず、右腕を身体の前にまっすぐ水平に突き出し、手のひらを上に向けます。
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右腕の上にウクレレを伏せた状態で寝かせて載せます。肘関節の上あたりにウクレレのお尻が来るようにして、右手でネックを軽く握ります。
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ネックを握ったまま、右手を左肩に近づけるような方向に、右肘を折ります。
- 上から見て、ウクレレが(自分の両肩を結んだラインから)30〜45度くらいの角度がいいです。ヘッド側を少し前に出す形になり、ウクレレのボディーは胸にピッタリとは付きません。
- ヘッドの上端は自分の目か鼻くらいより下になるようにします。
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この位置がウクレレの基本的な位置です。この位置で右手が動かしにくい場合は、ウクレレのお尻をもう少し下げてもいいです。但し、ウクレレのお尻をももの付け根の上に載せた形だと、立ち姿勢の時に位置関係が変わってしまうので、足に触れていない方がいいです。
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ウクレレが下がりすぎないようストラップを調整します。
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ウクレレの表板が(上向きではなく)なるべく客席方向(正面)に向くようにします。
- 最初のうちは弦を押さえている左手指が見にくいかもしれませんが、ウクレレの表板が上向きだと、右手と左手の動きに無理が生じやすく、先に行って上達の妨げとなりやすいです。
- 背中が丸まったり、顎を出さないように気を付けて、姿勢を前後左右でまっすぐにします。目線もなるべく水平に。
ギターの構え方
ギターの構え方もウクレレの「4.」項以降は概ねウクレレと同じです。上から見た角度も同様に30〜45度くらい。
人によって腕の長さも違うため、ギターの寝かせ具合は多少個人差がありますが、目安になるのは左手の手首です。ネックがあまり下だと左手首と指の第3関節をより大きく曲げることになりがちです。特にガットギターはネックが太く、指板の幅も広いので、曲がり方がきついと腱鞘炎のリスクもあります。左手首をなるべく曲げずまっすぐな状態で演奏できるよう、少し立て気味の角度の方が指や手首に負担が掛かりにくいです。
右手指は軽く丸めて、右手首もなるべく曲げないようにしますが、人差し指、中指、薬指の3本の指が、弦に対してなるべく正対するように、少しだけ小指方向に手首を曲げてもいいかもしれません。指が弦に対してあまり斜めになると音色に影響が出ることがあります。
ii. まずは右手親指でダウンストローク
基本
ストロークは4本(ギターは4〜6本)の弦をワンアクションで弾くやり方です。一番やさしい動きなので最初に憶えます。ここでは左手は押さえなくていいので右手だけでやってみましょう。まず右手親指一本で弾く、上から下に弾くダウンストロークをマスターしてください。
- 親指はほぼまっすぐのまま、あまり力を入れないようにします。親指の関節を曲げたり反らせたりする必要はありません。弦を「弾く(はじく)」というより、「なでる」というほうが近いかもしれません。
- ウクレレの場合は、肘のあたりをウクレレにあてたまま、肘関節はあまり動かさずに手首の回転で弾きます。弾く場所はサウンドホールより上、ジョイントのあたりが目安です。
- ギターの場合は、逆に手首はあまり回しません。手首は動かさずに肘の回転でストロークします。
練習方法
- 弦は爪だけで引っかけるのではなく、弦を指の先へ当てて爪へ抜けるようにします。
- ワンストローク1秒以下くらいの速さと、4秒くらいかけるゆっくりなストロークを練習してみましょう。
- 最初は難しいかもしれませんが、全ての弦が偏りなく、なるべく同じくらいの音量で鳴っているように弾きます。
右手指の爪
右手の親指、人差し指、中指、薬指の爪は最低1ミリ、出来れば2〜3ミリ伸びていた方がいい音がします。
爪が弱い方は瞬間接着剤(釣名人)などで補強したり、仕事などで伸ばせない場合は、つけ爪(アラスカピック)を使う方法もあります。
爪やすりについては「Gadgets」ページに少し書いたのでご参照ください。
iii. 弦の押さえ方(左手の使い方)
指で弦を押さえる場所は基本的にフレットとフレットの真ん中より少しブリッジよりです。但し、フレットの真上を押さえてしまうと弦の振動を妨げてこもったような音になります。またフレットから遠すぎたり、押さえる力が足りなかったりすると、「ビィ〜ン」と音がびびったりします。
指はなるべく立てて、指板に対して弦を垂直に押しつけるようにします。指が斜めになったり寝ていると力が逃げてしまうのと、弦が引っ張られて音程がずれたりします。また、隣の弦に触れないように注意してください。
指は第1関節、第2関節を曲げます。第3関節はあまり曲がりません。
弦を押さえたときに、指先に触れているのは弦のみで、なるべく指板に触っていない方がいいです。うっかりすると指板を一生懸命押していて、弦に力が伝わっていないことがあります。
弦を押さえたら、左手の親指の位置も確認してください。基本的には中指の反対側あたりに位置しますが、コードによって、ほかの指が弦を押さえやすい位置に置くようにします。
左手は爪が伸びていると弦を押さえられないので、深爪にならない程度に短く切っておきます。
最初のうちは必要以上に力が入ってしまいがちで、なおかつ指先の皮膚も柔らかいので、指先が痛くなるかもしれません。あまり痛くなったら休憩するか、その日は弾くのを止めてしまいましょう。無理に弾くと指を痛めるかもしれません。少しずつでもいいので、毎日弾いているとだんだん指先が硬くなって、痛くなりにくくなります。
あまりに押さえられないときは、弦を替えてみてもいいかもしれません。弦によって押さえやすい、押さえにくいというのはあるので、楽器店などで相談してみてください。
iv. スリーコードから
まず「D,G,A7」の3つのコードを憶えましょう。曲例の「故郷」や「ケセラセラ」など、この3つのコードだけで弾ける曲は沢山あります。
黒丸の中の数字は押さえる指の指定です。(1=人差し指、2=中指、3=薬指、4=小指)
慣れてきたら必ずしもこの指定通りでなくても構いませんが、最初のうちは一定の指で押さえた方が早く形を憶えられます。
図の上の6桁または4桁の数字はコードダイアグラムと意味は同じで、コードの押さえ方を数字で表した簡易記法です。左の桁から6〜1弦または4〜1弦の順に押さえるフレット位置が記されています。コードダイアグラムより簡単に書けて、慣れればすぐ読み取れるようになります。曲例の楽譜にも記載してあるので参照してください。
コードを憶えたら、楽譜などを見ながら口笛は吹かずに楽器だけ弾いてみましょう。曲例に「故郷」の楽譜を載せてあるので、これを題材に練習してみてください。
初めは右手は1拍目だけのゆっくりのストロークなど一番簡単なパターンで構いません。指板を見なくてもテンポを守って迷わず指が動くまで、繰り返し練習します。
ストロークでは、ウクレレはほとんどの場合、弦4本全て弾きますが、ギターはコードによって弾かない弦があります。ダウンストロークではE,F,Gは6弦から、A,B、Cは6弦を飛ばして5弦から、Dは6と5弦を飛ばして4弦から弾きます。(例外はあります)
次の章では、弾き方の次のステップを取り上げます。