くちぶえ弾き吹き入門 – 4. 演奏編 – c. 大会出場が決まったら

i. 準備は念入りに

スコアシートを参考に

 WWCでは本番はもちろん、事前審査でも順位とスコアシートを返します。スコアシートは審査員が「ここがよくなるともっと良いのに」というところを減点し、その上で評価できるところを積極的に探して加点しています。
 なので、スコアシートをよく見て、短所を改善し長所を伸ばす練習をするといいです。

口笛はたっぷり練習できる

 本番に向けた準備は(疲れが溜まらない限りは)やってやり過ぎることはないかもしれません。

 ほかの楽器では、あまり練習しすぎると身体の一部に無理が掛かったり、歌などの場合は喉を痛めたりすることがありますが、口笛の場合、正しい呼吸と姿勢で演奏していれば、ほとんどどこにも無理が掛からないので、何時間でも吹いていることが出来ます。

 しいて言えば、季節によっては唇が乾いて荒れてくるので、こまめにリップクリームと水分が必要になったり、細かい音が多い器楽曲などでは舌が筋肉痛になったりする、こともある程度なので、たっぷり練習できます。
 但し、弾き吹きの場合、ウクレレ/ギターは長時間やっていると手が疲れたり指が痛くなったりするので、休み休みがいいですね。

身体の柔軟性と筋肉

 それでも、口笛を本格的に始めてまだ日が浅い方などは、まだ身体が楽器になっておらず、口笛を吹くための筋肉や、身体の柔軟性が十分でない場合があります。その場合は(くどいようですが)正しい呼吸と姿勢でひたすら口笛を吹いて身体を作っていくのだと思います。

 クチ周りがすぐ疲れてしまう場合は、余分な力が入っているのかもしれないので、最低限必要なところ以外の力を抜くようにするといいです。

 すぐ息が上がってしまったり、酸欠気味に感じる場合は、発音に余分な息を使っているか、呼吸が浅いのかもしれません。
 心肺機能の向上には運動がいいです。歩くだけだと平地ではやや負荷が足りないですが、ジョギングや水泳など、少し息が上がる程度の有酸素運動がとても効果的でオススメです。運動の際には深い呼吸を意識して、できるだけ横隔膜を動かすようにします。少し続けるだけで息が続くようになってくると思います。

 

ii. 人前で演奏して場数を踏もう

仕上がり具合を確認する

 弾き吹きの場合、最初はテンポを守って演奏するだけで精一杯だと思います。練習を積んで、一定のテンポだけではなく、積極的にテンポを自分でコントロールできるようになって、演奏自体もこなれてきた実感が出てきたら次のステップに進みます。

 次のステップでは、録音か録画をして演奏を自分でチェックして、甘いところをどんどん楽譜に書き出していきます。
 そして、それを見ながら練習し、また録音か録画をしてチェックすることを繰り返します。

人前で演奏

 ある程度出来るようになったら、ぜひ人前で演奏してみてください。たとえ聴いているひとが少なかったとしても「人前での演奏」は「本番」であり、大会と同じく一発勝負でやり直しはききません。

 言ってみれば大会のシミュレーションのようなもので、その経験で得ることは多いです。何十回練習してもわからなかったことが人前での演奏でわかることもよくあります。これもやはり録音か録画をしておいてチェックすることが大事です。おそらく、練習では出来ていたことがダメだったりすると思います。そこを見つけてください。

 可能であればこれも何回かできるといいです。やる度に完成度が上がっていくと思います。

マイクを使った演奏

 大会ではマイクを使うので、もしまだであればマイクを使った演奏もぜひ経験しておいてください。生音とは聞こえ方も違うし、マイクも意識する必要があり、だいぶ感覚が違うので、やはり慣れが必要です。
 WWCでは自前マイクやDIが使えないので、ウクレレ/ギターはスタンドマイクで拾うことになります。以前も書きましたが、立ち姿勢の方が呼吸はし易いですが、マイクの位置ずれの心配があります。立つか座るかはよく検討してみてください。

 

iii. 大会当日はリラックスして

 コンテストの場合は、普通のコンサートなどともちょっと雰囲気が違うので、いつも妙な緊張感があります。しかしここでもやはり選曲や練習などの事前の準備が重要で、当日に出来ることは限られます。

 スポーツであれば、本番で火事場の馬鹿力みたいなものはあるかもしれませんが、こと音楽に関しては、舞台袖で「今日は頑張ってなんとか入賞しよう」とか思ったところで、準備した以上のものはまず出てこないと思います。本番では練習通りのパフォーマンスをすることだけを考えた方がいいです。
 結果がどうあれ、練習通りのパフォーマンスが出来れば自分にとってのひとつの成果となると思います。

 そのためには、リラックスして、審査員も観客も無視して、音楽だけに集中するのが望ましいです。言うは易しですが・・・

 

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