くちぶえ弾き吹き入門 – 2. 準備編 – d. 楽器を手に入れる

i. 新品か中古か

新品の楽器

 新品の楽器であれば、基本的には3万円なら3万円の音、30万円なら30万円の、値段なりの音がします。しかし、30万円のものが3万円と比べて10倍いい音がするか、というとそういうことでもないです。ある値段以上になってくると、「この楽器でないと出せない音」とか、「音のバランスがいい」とか「演奏していて楽しい」等々、楽器の固有の価値に値がついているのではないでしょうか。

 そのほかに高めの値段がついている要素としては、例えば輸入物で輸送料が掛かっている場合や、著名な制作者でプレミアがついているもの、ピックアップやマイクなどの付加装置がついているもの、などがあります。

 つまり「値段が高い楽器」イコール「だれにとっても良い楽器」ではないとすると、それなりの値段の楽器を買うのは、何に対してお金を出すのか、明確になってからがいいかもしれません。

中古の楽器

 市場には中古の楽器も沢山あり、目利きが出来れば出物もあります。初めての場合でも必ずしも新品にこだわる必要はないと思いますが、これには条件があります。

 中古の楽器の値付けはさらに複雑で、選ぶのにも注意が必要です。特に、変なクセがあったりして弾きにくいものだと、上達に支障が出て来たり、入手したあとの修理に意外なお金が掛かってしまったりするものもあるので、条件としては、できるだけ現物をよく見て、できればよく分かる人に確認して貰うのをおすすめします。
 その意味では、オークションなどで現物を見ずに購入するのは、ダメとは思いませんが、ある程度のリスクを覚悟する必要があります。

 

ii. 初心者が最初に買う楽器

楽器の値段

 ウクレレだと、最近は新品で1万円台でもちゃんと使えるものがあってありがたいです。
 最初はどのくらいの値段の物を買えばいいか、なかなか見当がつかないと思います。その意味では、できればなるべく沢山の楽器を試奏した方が良いです。もし試奏に自信がなければ、店員さんや同行者(いれば)に頼んで弾いて貰えば、何本も聴く内にだんだん分かってくるはずです。

<メモ> 1万円台のものはさすがに仕上げにばらつきがあることもありますが、多少問題があったとしても、例えばフレットのバリくらいは、100均のダイヤモンドヤスリで十分直せたりします。

 ギターの場合、例えばガットギターの新品なら5〜6万円台のメーカー量産品なら、最初の一本として不足のないところだと思います。但し、ギターの場合は、先に書いたように程度の良い中古も豊富で、場合によっては新品の半額以下で買えたりするので、そちらも狙い目です。

どの程度の楽器を選ぶか

 最初はどこまでやるか、すぐ飽きたりしないか不安でしょうから、とりあえず安価なものや、割安な中古(でもちゃんと使えるものを)を選ぶ、というのもおすすめです。
 ある程度慣れてきて、いろいろ分かってきて、それでも今の楽器に特に不満がなければ、そのまま使い続けるもいいし、またはあらためて好みのものを選ぶ、というのもいいのではないでしょうか。

 もっとも、良い楽器は概ね弾きやすくていい音がするので、練習に張り合いが出て上達が早い、というのも実際あり得る話しです。もし、試奏して気に入ったのなら、あとで後悔するより多少背伸びしてもいいかもしれません。

 繰り返しになりますが、楽器を選ぶ場合は、中古はもちろんですが、新品の場合も、なるべく先輩や先生など、信頼できる方に同行して貰うか、信頼できる店員さんに相談することをおすすめします。

 

iii. 楽器を買いに行く

お店を選ぶ

 楽器店も店によっていろいろ違うので、試奏するときは、何軒か回ってみるといいと思います。買わないかもしれない、と気が引ける場合は、最初に「今日は試奏だけのつもり」と断っておけばいいです。ちゃんとした店なら問題なく対応してくれるはずです。
 例えば、こんなお店はおすすめです:

  • ギターやウクレレの専門店。または専門コーナーがある。
  • 低価格のものから高価格まで品揃えが豊富。
  • 購入時に安価、または無料でLow-G弦張替・調整や、ストラップピン取付に対応してくれる。
  • 修理などのサービスが迅速で価格も適正。
  • 喜んで何本も試奏させてくれる店。初心者に丁寧な店。(できれば平日の昼間など、比較的空いているときに来店するのもおすすめ)

<メモ> 品揃えは、安いのと高いのだけでなく、中間価格帯も揃っている方が良い。いろいろ試奏して、値段と音の関係が分かりやすいため。

通販サイトで買う

 知り合いに借りるなどで、一度どこかで試奏して、様子のわかっている楽器であれば、メーカーとモデルを指定して、同じものを通販サイトで買うこともいいかもしれません。どうしても近所に楽器店がない場合も同様です。

 現物を事前に確認できなくても、名の知れた評判のいいメーカーであれば失敗する可能性も低いですが、一つ頭に入れておきたいのは、同じメーカーの同じモデルであっても、楽器は多少なりとも個体差があるので、比較的鳴りの良いものと、そうでもないものはあります。いいのが来るかどうかはどうしても運任せになります。

 

 次の章では準備編の最後、「楽器と一緒に揃えておくといいもの」などを書いてみます。

 

<前章  次章>