コラム:音楽を始めるとき、最初はどんな楽器がいいか

私のスタジオにはなぜかいろいろな楽器があります。
ピアノやギター、ウクレレや管楽器、ハープから打楽器や、はては笙や篠笛、よくわからないチターのような楽器まで。(ただあるだけのものも多い)

自分自身は、口笛メインで長いことやっていますが、元々は口笛ありきではなくて、音楽表現の模索が先かもしれません。
やりたい音楽表現のために、自分でできるものをいろいろやってみたら、今のところ「口笛メイン」に落ち着いている、という感じです。

いままで試してみた結果を踏まえて、もし誰かがこれから音楽を始めようとしたときに、一番最初に選ぶ楽器はどんなのがいいかを考えてみます。

  • 音楽演奏では「技術」も大事だが、一番大切なのは「表現」だと思います。
  • 「表現」を学ぶには「身体に近い楽器」ほどやり易く、遠い楽器ほど難しくなる。
  • 身体に一番近い楽器とは(楽器に無理やり含めると)「歌」、その次が「口笛」。

なので(そもそも楽器ではないが)まず最初に音楽表現を学ぶ入り口として「歌」または「口笛」がお勧めです。

次に、その「歌」または「口笛」と合わせて「ギター」で「弾き語り」または「弾き吹き」がお勧めです。
「ギター」と合わせることで「キー」「音程」「リズム」が定まり、「コード」の知識も増えていきます。

なぜ「ギター」かといえば、以下のような理由があります。

  • 自分の指でじかに弦をハジいて音を出すので、比較的「身体に近い楽器」である。
  • コード楽器としては、ウクレレの次くらいに習得のしやすい楽器である。
  • 一般的な、こなれた楽器なので、安価で質の良い楽器や、情報などが容易に入手できる。

「ギター」でなくて「ウクレレ」でもいいかもしれませんが、「ウクレレ」は弦が少ないので「コード」がどうしても省略的になることが多く、それはそれでややマニアックな世界ではありますが、「コードを学ぶ」にはあまり向いていないと考えます。
また、「ウクレレ」では低音域、ベース音を使った表現はなかなか難しいです。

それに「ギター」が弾ければ「ウクレレ」の習得はそれほど難しくないですが、最初に「ウクレレ」で慣れてしまうと、大きさの違いで戸惑ってしまうのか「ギター」を習得するのはなかなかハードルが高いようです。
実際には、最近では嬉しいことに「レディースサイズ」や「ミニギター」もあるので、女性など体格や手の小さい方や子どもでも大丈夫です。

ただし、「ギター」は初心者がつまずくポイントがいくつかあるので、教本やYoutubeなどで自習でもダメとは思いませんが、できれば最初だけでも先生につくことを強くお勧めします。
ある統計ではギター初心者のなんと9割が挫折するそうですが、これは最初から難しいことをしすぎるからではないかと思います。適切なアドバイスを受けて、段階を経てやれば特別な努力も才能もいらないです。

楽器を始めるというと、まず「ピアノ」が思い浮かぶと思いますが、「ピアノ」は比較的「身体から遠い楽器」なので、ともすると「表現」が育たずにただの「指の体操」になりがち。
もちろん一流の演奏家は「ピアノ」の能力を最大限に使って素晴らしい「表現」をしますが、全くの私見ですが、最初に始める楽器としては「ピアノだけ」だとすると「表現」を育むにはあまり向いていないように思います。
ピアノでも弾き語りや弾き吹きだとまた違うかもしれません。