ギターアンプをくちぶえ演奏に使う

最近、ギターアンプをくちぶえ演奏に使っています。先日の釧路のリサイタルでも使いました。

くちぶえは「声楽」と同じ生身でありながら「器楽」の要素も持っていたり、また音域が非常に高いなど、音響的にはなかなか独特のものがあると思います。
例えば、モニター(返し)スピーカーについて。くちぶえはマイクもそうですが(マイクで音が全然違う)、このあたりにはいつも神経を使います。
ヴォーカルもモニターが大事だと思いますが、くちぶえの場合、それと同じか、より以上に重要と思います。ほかの楽器や音源の音で自分の音が簡単にかき消されてしまう上に、倍音が極端に少ないので、わずかなピッチのずれがすぐに目立ちます。
一方では、直接自分の耳に入ってくる生音と、マイクが拾っている音は微妙に違うので、マイク側の音を常に確認する必要があると思います。
そういった意味で、きっちり返しが聞けていないと、ピッチの精度と音色がガクッと落ちることになります。

しかし、会場によっては、モニターがちょっと聞きにくかったり、モニター自体がなかったりして、自分の音が自分で思っている以上にちゃんと聞こえていないことがあります。演奏のあとでなにか不安になるようなときは、そういうことが多いみたいです。
そこで、そういう場合のために、自分用モニターとしてギターアンプを使うことにしました。

AERのalpha(ムラウチ)(楽天)という、アコースティックギター用として定評のある小さなアンプです。このシリーズは続木力さんという素晴らしいハーモニカの方に教えていただきましたが、くちぶえで使っても素直な伸びのいい音がします。これ自体が楽器といってもいいですね。

ここのところ使っているマイクBeyer M88との相性もいいです。同じドイツ製だからかな。

アンプとしては安くないですが、楽器として考えれば安いかもしれません。
エフェクトはリバーブしかありませんが、きれいでちゃんと使えるので、僕の場合それで必要十分です。

alphaはシリーズ中で一番小さくて40Wですが、見た目よりも結構インパクトのある音がします。ボリュームを上げてもなかなか破綻しません。僕の用途にはこれで十分で、これ以上のパワーが必要な規模では、逆にちゃんとしたPAが会場にあると思われるので問題ないです。
マイクをこのアンプにつなげて、DI-Outがあるので、そこからミキサーに送ります。その場合、アンプ側のリバーブとボリュームはDI-Outに影響しないので、好きなように調整できて便利。客席へのリバーブはミキサー側で別途かけてもらいます。なおEQはDI-Outに影響します。
アンプを足下に置いておけば、周りに影響されずに自分の音がいつも同じようによく聞こえます。

小さい会場でPAが全然ないような場合は、このアンプだけで簡易PAとして使ってもまあなんとかなります。場所にもよりますが屋内ならだいたい40人規模くらいまでは大丈夫だと思います。背面のReturnソケットは本来エフェクター用ですが、そこにCDなどをつなげられます。そこはリバーブがかかりません。但し、スピーカーの都合上、モノラルになってしまいますが。
ウィスリング・トムなんかはスタンド付きのスピーカーを2本、車で持ち歩いてますが、こちらは行ってみないとわからなかったり、電車だったりなので、この小さいアンプがちょうどいいかな。

入力はもう一つ口があるので、ギターなどと合わせるときも、必要ならもう1本マイクを入れられます。EQとリバーブは両方にかかってしまいますが、まあ実際にはほとんど問題ないでしょう。